[法]経済原論:講義概要(シラバス)
【授業のテーマ】
経済学が解明しようとしている諸問題は,何気ない普段の生活の中にありますが,意外と気が付かないものです。この講義では,経済学を初中級レベルで学びながら,経済学の問題意識,それを解明するための既存理論への理解,理論の現実問題への応用,理論の限界と新たな理論の構築といった研究にむけた第一歩として,基礎学力と若干の応用力を身に付けることを目標とします。経済学的な考え方を身に付け,普段の生活の中から,経済学によって視野を拡げることのできる問題が発見できることが大きな目標となります。
【授業の概要と方法】
毎回,テーマを示し,それへの答えを探ります。主に,講義形式にて進めますが,数回に一回,それまでに学んだ講義内容に対し練習問題を解きます。練習問題は,講義の復習と学力の定着だけでなく,現実への応用力を身に付けることも目標としています。
【授業計画】
回 | テーマ | 内容 |
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第1回 | イントロダクション | 講義内容・方法,学習方法・目標,学習目標,文献案内,評価方法,経済学の「経済」とは? |
第2回 | 経済循環 | 経済活動のとらえ方,フロー循環と三面等価,投入産出表(産業連関表),合成の誤謬と分割の誤謬 |
第3回 | 経済学史概説と経済学の問題意識 | 経済学の問題意識,経済学説概史 |
第4回 | 需要と供給の理論 | 需要曲線,供給曲線の概念,買手の意思決定と需要曲線,売手の意思決定と供給曲線 |
第5回 | 市場均衡と資源配分 | 資源配分と所得分配,市場均衡 理論編,応用編 |
第6回 | 経済厚生(1)厚生経済学の第1基本定理と取引費用 | パレート改善とカルドアの補償原理,パレート効率性と厚生経済学の第1基本定理 |
第7回 | 経済厚生(2)取引費用と第1基本定理 & 厚生経済学の第2基本定理 | 厚生経済学の第2基本定理,税/補助金の分類と供給曲線 |
第8回 | 政策の効果(1)価格規制 | 消費者余剰,生産者余剰,総余剰,価格規制 |
第9回 | 政策の効果(2)数量規制,流通統制とその応用 | 数量規制,流通統制,参入の自由 vs. 国有化 |
第10回 | 政策の効果(3)租税,補助金 | 従量税の効果,従価税の効果,補助金の効果 |
第11回 | 政策の効果(4) | ・応用編 |
第12回 | 市場均衡:短期 vs. 長期 | 短期と長期,短期市場均衡,長期市場均衡 |
第13回 | 市場均衡:安定性 | マーシャルの仮説,ワルラスの仮説 |
第14回 | 市場の効能,機能:まとめ | 厚生経済学の2つの基本定理,政府介入の効果 |
第15回 | 前期末試験 | 範囲:前期内容全体 |
第16回 | 前期末試験結果と後期トピックス | 前期試験について,後期講義内容,前期内容(まとめ & 復習) |
第17回 | 市場の失敗(1)外部性 | 外部性,外部性がある場合の効率的生産,コースの定理,政府による内部化:ピグー税 |
第18回 | 市場の失敗(2)公共財 | 私的財 vs. 公共財,非競合性をもつ場合 |
第19回 | 市場の失敗(3)情報(1)逆選択 | 情報の非対称性,隠れた知識と逆選択 |
第20回 | 市場の失敗(4)情報(2)逆選択の回避方法 | スクリーニング,シグナリング,自己選択条件,参加条件 |
第21回 | 市場の失敗(5)情報(3)モラル・ハザード | モニタリング・コストと「隠れた行動」,プリンシパル・エージェント問題とモラル・ハザード,モラル・ハザードの回避法:インセンティブ・スキーム |
第22回 | 市場の失敗(6)費用逓減 | 費用逓減,市場均衡の非存在性,独占の場合 |
第23回 | マクロ経済学(1)マクロ経済学の問題意識 (復習) と景気動向 | ミクロ経済学とマクロ経済学,景気動向,有効需要の原理 vs. セイ法則 |
第24回 | マクロ経済学(2)有効需要の原理 | 「有効需要の原理」と総生産の決定 |
第25回 | マクロ経済学(3)投資乗数:乗数効果 | 投資乗数,乗数波及効果 |
第26回 | マクロ経済学(4)貯蓄の概念とISバランス | 貯蓄の概念と貯蓄関数,ISバランス,貯蓄のパラドックス |
第27回 | マクロ経済学(5)財政と景気(1)財政とマクロバランス | 「財政」とは?,政府の介入と投入産出表,財政赤字と政府のISバランス,可処分所得の処分とマクロ的ISバランス |
第28回 | マクロ経済学(6)財政と景気(2)財政政策の効果 | 政府部門が存在する場合の消費関数,政府部門が存在するときの均衡GDP水準,政府の介入と投資乗数,財政発動の効果 |
第29回 | マクロ経済学(7)財政と景気(3)リカードの等価定理 | 生涯所得,減税の効果:リカードの等価定理,財政発動の効果 |
第30回 | 後期末試験 | 範囲:後期内容全体 |
【授業外に行うべき学習活動(準備学習等)】
(事前準備)教科書,参考書の指定箇所を事前に読みましょう。
(事後学習)指定の練習問題について,解答しましょう。
*教員Web掲載講義ノートに該当箇所を記載
【テキスト】
奥山利幸『ミクロ経済学』白桃書房
【参考書】
[1]伊藤元重『入門経済学』日本評論社
[2]伊藤元重『マクロ経済学』日本評論社
[3]奥野正寛『ミクロ経済学入門』日経文庫
[4]スティグリッツ『入門経済学』東洋経済新報社
[5]中谷巌『入門マクロ経済学』(第5版)日本評論社
[6]中谷巌『マクロ経済学入門』(第2版)日経文庫
[7]マンキュー『マクロ経済学I』入門篇(第2版)東洋経済新報社
*教員Webに講義ノートを掲載予定。
【成績評価基準】
前期末試験40%,後期末試験60%