マクロ経済学:第23回講義ノート
2012年11月6日 火・1[新]マクロ経済学B[旧]現代経済学応用B
後期第8回 ニュー・クラシカル (1) 消費 (1)
<今日の内容>
1 80年代以降の古典派:「ニュー・クラシカル」
2 ニュー・クラシカルの消費理論
2.1 消費者の選択
2.2 ライフ・サイクル仮説
2.3 恒常所得仮説
2.4 最適消費計画の求め方
1 80年代以降の古典派:「ニュー・クラシカル (New Classical)」
- 期待形成:合理的期待形成
- 前向き予測(Forward Looking)
- 消費者:生涯所得予算制約内生涯効用最大化
- 先祖:ライフ・サイクル仮説,恒常所得仮説
- 生産者:利潤最大化
- 市場:価格メカニズム
2 ニュー・クラシカルの消費理論
2.1 消費者の選択
●予算制約式
ct + at+1 = (1+rt)at + wt
ct:t期の実質消費
at:t期首の実質純資産
wt:t期の実質労働所得
rt:t期の実質利子率
[ノート]r
を除くすべて,一人当たり
[ノート]t
期の実質所得
yt = rtat + wt
∴
at+1 − at = t期の実質貯蓄
● t
期での生涯効用
Ut = u(ct) + βu(ct+1) + β2u(ct+2) +・・・
u(c):消費水準が c のときの1期分の効用水準
β:主観的割引因子 (0<β<1)
●行動仮説
各 t
期において予算制約内期待生涯効用 Et[Ut]
を最大化する消費計画
(ct, ct+1, ct+2,…)
を選択
Et[x]:x に対する t期での期待値
2.2 ライフ・サイクル仮説
- 1950年代:F. モジリアーニ(Franco Modigliani)⇒ 1985年ノーベル経済学賞
[例23.1]現在を0期,N期後まで働き,T期後に一生を終えると予測。N期後まで y で一定の実質所得を得られるとしたとき,生涯を通じて安定的に消費するには?
2.3 恒常所得仮説
- 1950年代:M. フリードマン(Milton Friedman) ⇒ 1976年ノーベル経済学賞
●恒常所得(Permanent Income)
●変動所得(Transitory Income)
t
期の実質所得:
yt = ytP + ytT
ytP:t期の恒常所得
ytT:t期の変動所得
●消費の恒常所得仮説
2.4 最適消費計画の求め方
●最適消費計画
●価値関数(Value Function)
●ベルマン方程式(Bellman Equation)
Vt = max{u(ct) + βEt(Vt+1)}
[例23.1]
・u(c) = −(1/2)c2 + γc (γ>0)
・すべての t について β = 1/(1+rt)
・最適消費計画:ベルマン方程式の解
ct = (1−β)ytP
・価値関数
Vt = −{(1−β)/2}(ytP)2 + γytP − {β(1−β)/2}{σt+12 + βσt+22 + β2σt+32 +・・・}
・解の性質
(1) Et[yt+1P] = ytP
(2) yt+1P − ytP = 恒常所得の t+1 期での予期せぬショック
但し,
ytP := (1+rt)at + wt + Et{βwt+1 + β2wt+2 +・・・}
σt+12:恒常所得の t+1 期での予期せぬショックの分散
恒常所得の t+1 期での予期せぬショック := wt+1 − Et[wt+1] + βEt+1[wt+2 − Et[wt+2]] + β2Et+1[wt+3 − Et[wt+3]] + ・・・