日本経済論:第23回講義ノート
2012年11月12日 月・3
後期第8回 メインバンク・システム (3)
<今日の内容>
2 メインバンク・システムのいくつかの仮説・理論[続き]
[前回]
2.1 リスク・シェアリング説
2.2 モラル・ハザードとモニタリング機能説
[今回]
2.3 倒産回避機能説
2.4 情報発信機能説
2 メインバンク・システムのいくつかの仮説・理論[続き]
2.3 倒産回避機能説
- [仮定]市場利子率:10%,各状態の発生確率:0.5
営業利益 今期市場価値 今期 来期 株式 負債 企業 状態1 状態2 50 99 66
■Q. 負債の額面が110のとき,株式,負債,企業の市場価値は?
■Q. それでは,負債の額面が143のときは?
●倒産費用
・人的資本
・知識資本
・取引費用
- 負債:額面143,倒産費用:22
営業利益 今期市場価値 今期 来期 株式 負債 企業 状態1 状態2 50 99 44 5 110 115 - 銀行融資による倒産回避
債権者の反応 倒産 状態2での
債権者の利益
現在価値株式 負債 受諾 回避 110 5 120 拒否 不可避 90 5 110 ※ 倒産費用が存在するときの債務不履行に起因する負債のリスク・プレミアム
・倒産回避なし:20%
・事前に倒産回避が予想された場合:9.166%
2.4 情報発信機能説
- [仮定]市場利子率:10%,各状態の発生確率:0.5,負債の額面:143,倒産費用:0
プロジェクト 営業利益 今期市場価値 今期 来期 株式 負債 企業 状態1 状態2 A 50 99 66 B 50 93.5 88
■Q. 各プロジェクトの株式,負債,企業の市場価値は?
■Q. 株主の利益最大化を目指す経営者であれば,企業価値が低く,リスクも高い方のプロジェクトを選択する。この回避方法は?
- メインバンクが,株式を10%買い取ることで「主要株主」になる場合
- 債権も10%,買い取る
- 買取費用合計:12.5
- 利益:0.75
- 株式からのキャピタル・ロス:0.25
- 負債からのキャピタル・ゲイン:1.0