現代経済学基礎:第10回講義ノート

2014年6月18日 水・1[新]現代経済学入門[旧]現代経済学基礎

マクロ経済学 (6):財政と景気 (1)

[今日の内容]
1 「財政」とは?
2 政府の介入と総需要
3 財政赤字と政府のISバランス
4 可処分所得の処分とマクロ的ISバランス
[今日の問題意識]
「有効需要の原理」を想定したとき,政府の介入・財政と景気の関係は,どのようになっているのであろうか。
(1) そもそも「財政」とは?
(2) 政府が介入するときの総需要は?均衡条件は?
[キーワード]
財政,租税,民間部門,公的部門,海外部門,国内,国民,閉鎖経済(封鎖経済),政府支出(財政支出),政府所得,均衡財政(均衡予算),財政赤字,政府のISバランス,可処分所得,可処分所得の処分,マクロ的ISバランス

1 「財政」とは?

平成24年度一般会計(決算値)

平成24年度決算
*財務省「決算」より

我が国の1970年度以降の長期債務残高の推移

日本の長期債務残高
*財務省「財政関係基礎データ(平成26年2月)」内「我が国の1970年度以降の長期債務残高の推移」より

2 政府の介入と総需要

■Q. 政府が経済に介入しているときの総需要は?

●民間部門と公的部門の2部門のおける消費と投資
 消費 = 民間消費($C$)+ 政府消費
 投資 = 民間投資($I$)+ 政府投資

●政府支出($G$)= 政府消費 + 政府投資

[ファクト10.1]民間部門と公的部門からなる閉鎖経済の総需要
 $E = C + I + G$

3 財政赤字と政府のISバランス

●政府所得($T$)= 租税 - 補助金 + その他移転収支

●財政赤字

●均衡財政(均衡予算)

●政府のISバランス = 政府投資 − 政府貯蓄

【チャレンジ!】次のファクトが成り立つことを示してみよう!

[ファクト10.2]
 財政赤字 = 政府のISバランス

4 可処分所得の処分とマクロ的ISバランス

●可処分所得(Disposable Income, DI)
 $DI = Y - T$

●可処分所得の処分
 $Y - T = C + S$

●マクロ的ISバランス = 民間のISバランス + 政府のISバランス

【チャレンジ!】次のファクトが成り立つことを示してみよう!

[ファクト10.3]民間部門と公的部門からなる閉鎖経済では,
 総需要($E$) $-$ 総供給($Y$) $= I - S + G - T$