マクロ経済学:第12回講義ノート
2012年7月3日 火・1[新]マクロ経済学A[旧]現代経済学応用A
第12回 IS-LM分析 (2) 財政政策とクラウディング・アウト
<今日の内容>
1 今日の問題意識
2 財政政策とIS曲線のシフト
3 LM曲線の勾配の決定因と財政政策の効果
3.1 ケインズ効果とクラウディング・アウト
3.2 LM曲線の勾配の決定因
3.3 財政政策の効果:貨幣需要の利子弾力性が無限大のケース
3.4 財政政策の効果:貨幣需要の利子弾力性がゼロのケース
1 今日の問題意識
■Q.生産物市場と金融市場(債券市場,貨幣市場)の間の相互作用を考えたとき,財政政策は乗数効果以外に何かしらの効果を伴わないのであろうか。
2 財政政策とIS曲線のシフト
[ファクト12.1]IS曲線は,他の事情に変化がないとき,独立支出の増加によって右方に平行シフトする。そのシフトの大きさは,つぎに等しい。
(a) 独立投資:投資乗数×独立投資の増加量
(b) 政府支出:政府支出乗数×政府支出の増加量
(c) 減税:減税乗数×減税
3 LM曲線の勾配の決定因と財政政策の効果
3.1 ケインズ効果とクラウディング・アウト
●ケインズ効果
●クラウディング・アウト
■Q.クラウディング・アウトは,LM曲線の勾配が急になればなるほど,大きくなる。それでは,LM曲線の勾配を決めている要因は,何であろうか。
3.2 LM曲線の勾配の決定因
[ファクト12.2]LM曲線の勾配は,次の変化によって緩やかとなる。
(a) 貨幣需要の利子弾力性の上昇
(b) 貨幣需要の所得弾力性の下落
3.3 財政政策の効果:貨幣需要の利子弾力性が無限大のケース
[ファクト12.3]貨幣需要の利子弾力性が無限大の場合,
(1) ケインズ効果はなくなり,したがって,
(2) クラウディング・アウトは,一切,発生しない。
3.4 財政政策の効果:貨幣需要の利子弾力性がゼロのケース
●完全なクラウディング・アウト
[ファクト12.4]貨幣需要の利子弾力性がゼロの場合,財政発動は,民間支出を完全にクラウド・アウトする。