マクロ経済学:第4回講義ノート
2012年5月1日 火・1[新]マクロ経済学A[旧]現代経済学応用A
第4回 乗数理論
<今日の内容>
1 今日の問題意識
2 投資の変化 vs. 均衡GDPの変化:投資乗数
3 乗数過程 〜乗数波及効果〜
4 政府の介入と乗数効果
4.1 政府の介入の有無と需給均衡
4.2 政府介入下での投資乗数
1 今日の問題意識
■Q. 例3.1,あるいは練習問題3.3において,完全雇用を達成するには,民間投資需要がいくら必要であろうか。
■Q. 一般に,民間投資需要が増加すると,均衡GDP水準はいくら増加するのであろうか。有効需要の原理を想定したとき,その増加率には,何かしらの法則があるのであろうか。
2 投資の変化 vs. 均衡GDPの変化:投資乗数
●投資乗数
[ファクト4.1]政府の介入のない封鎖経済の均衡GDP水準と投資乗数
C = a + bY
I = I0
(均衡GDP水準) Y = (a + I0)/(1 - b)
(投資乗数) ΔY/ΔI = 1/(1 - b)
3 乗数過程 〜乗数波及効果〜
段階 | ΔI | ΔC | ΔE | ΔY |
1 | ||||
2 | ||||
3 | ||||
4 | ||||
. . . | . . . | . . . | . . . | . . . |
ΔY の総和 = ΔI + b x ΔI + b2 x ΔI + b3 x ΔI + b4 x ΔI + ・・・
= (1 + b + b2 + b3 + b4 + ・・・) x ΔI
= {1/(1 - b)} x ΔI
∴
ΔY/ΔI = 1/(1 - b)
4 政府の介入と乗数効果
4.1 政府の介入の有無と需給均衡
政府の介入 | 総需要(E ) | 総供給(Y )とその処分 | −意図せざる在庫投資(E − Y ) |
なし | C + I | C + S | I − S |
あり | C + I + G | C + S + T | I − S + G − T
|
[ノート]
G − T = 財政赤字
G = 政府消費 + 政府投資
∴
I − S + G − T = I − S + 政府投資 − 政府貯蓄 = 国内全体の投資 − 国内全体の貯蓄
4.2 政府介入下での投資乗数
[ファクト4.2]政府の介入のある封鎖経済の均衡GDP水準と投資乗数
C = a + b(Y - T)
I = I0
G = G0
T = T0 + tY (0 ≤ t < 1)
(均衡GDP水準) Y = (a + I0 + G0 - bT0)/{1 - (1 - t)b}
(投資乗数) ΔY/ΔI = 1/{1 - (1 - t)b}