マクロ経済学:第5回講義ノート
2012年5月8日 火・1[新]マクロ経済学A[旧]現代経済学応用A
第5回 財政政策の乗数効果
<今日の内容>
1 今日の問題意識
2 日本の財政
3 政府支出乗数
3.1 公債発行を原資とした拡張的財政政策
3.2 増税を原資とした拡張的財政政策
4 減税乗数
1 今日の問題意識
■Q. 財政政策の乗数効果は?
■Q. 一般に,政府支出が増加すると,均衡GDP水準はいくら増加するのであろうか。有効需要の原理を想定したとき,その増加率には,何かしらの法則があるのであろうか。それは,その原資を公債発行によって賄っても,増税で賄っても,同じであろうか。財政赤字を悪化させないであろうか。
■Q. 減税については,どうであろうか。有効需要の原理が働くのであれば,減税によって均衡GDP水準は,どの程度,増加するのであろうか。財政赤字は,悪化しないであろうか。
2 日本の財政
●[財務省]平成24年度予算(一般会計)
3 政府支出乗数
●財政
G = T + 公債発行
●政府支出乗数(財政支出乗数)
= ΔY/ΔG
3.1 公債発行を原資とした拡張的財政政策
[ファクト5.1]公債発行を原資としたときの政府支出乗数は,政府の介入があるときの投資乗数の大きさに等しい。
すなわち,ファクト4.2の記号を使えば,
1/{1 - (1 - t)b}
3.2 増税を原資とした拡張的財政政策
[ファクト5.2]増税(ΔT0)を原資としたときの政府支出乗数は,次に等しい。
(1 - b)/{1 - (1 - t)b}
4 減税乗数
●減税乗数
= - ΔY/ΔT0
[ファクト5.3]公債発行を原資としたときの減税乗数は,次に等しい。
b/{1 - (1 - t)b}
[ノート]
増税(ΔT0)を原資としたときの政府支出乗数 = 公債発行を原資としたときの政府支出乗数 - 減税乗数