マクロ経済学:第6回講義ノート

2012年5月15日 火・1[新]マクロ経済学A[旧]現代経済学応用A
※前回残り終了後

第6回 投資関数

<今日の内容>
1 今日の問題意識
2 限界効率の理論
 2.1 現在価値とプロジェクトの価値
 2.2 投資の限界効率
3 q理論

1 今日の問題意識

■Q.これまで,民間投資(I)を,ある値であると想定してきた。しかしながら,投資は,経済の様々な要因によって決まるはずである。それでは,どのように決まると考えれば良いであろうか。

2 限界効率の理論

[例6.1]次の投資プロジェクトをもつ企業がある。
 プロジェクト 投資(億円) 将来収益(億円)
    A    1       1.1
    B    1.5      1.575
    C    2       2.04
■Q1.各プロジェクトは,いくらの利益になると考えるべきか。
■Q2.どのプロジェクトを実行すべきか。

2.1 現在価値とプロジェクトの価値

●現在価値(Present Value)
■Q. 将来収益を担保にお金を借りたら,いくらになるであろうか?
 プロジェクトAの将来収益:1.1億円
 利子率(r)= 10%(0.1)
⇒ プロジェクトAの将来収益1.1億円の現在価値 = 1.1億円/(1 + 0.1) = 1億円

●プロジェクトの現在価値総額
 VA = -1 + 1.1/(1 + r)
 VB = -1.5 + 1.575/(1 + r)
 VC = -2 + 2.04/(1 + r)

利子率(r)0.010.02・・・0.05・・・0.10.11・・・
VA0.08910.0784・・・0.0476・・・0-0.009・・・
VB0.05940.0441・・・0・・・-0.0682-0.0811・・・
VC0.01980・・・-0.0571・・・-0.1455-0.1622・・・

●プロジェクトの実行基準
 プロジェクトの現在価値総額 ≥ 0

2.2 投資の限界効率

●投資の限界効率(ρ)
 プロジェクトの現在価値総額がゼロとなる割引率 r

●投資関数

3 q理論

●トービンのq
 平均q = V/PK
 限界q = ρ/r

●企業の市場価値
 発行済株式の市場価値+負債の市場価値