[法]経済原論:第24回講義ノート

マクロ経済学 (2):有効需要の原理と乗数効果 (2011/12/22)

[今日の内容]
1 「有効需要の原理」と総生産の決定(前回残り)
2 投資乗数
3 乗数波及効果
[キーワード]
有効需要の原理,総需要,総供給,消費関数,ケインズ型消費関数,限界消費性向,平均消費性向,独立消費支出,意図せざる在庫投資,均衡GDP水準,投資乗数,乗数波及効果
[参考書]
伊藤元重『マクロ経済学』日本評論社
中谷巌『入門マクロ経済学』(第5版)日本評論社
中谷巌『マクロ経済学入門』(第2版)日経文庫
マンキュー『マクロ経済学I』入門篇(第2版)東洋経済新報社

1 「有効需要の原理」と総生産の決定(前回残り)

[仮定]海外との取引のない「封鎖経済」,および政府の介入なし。

●消費関数:Y → C

[例]ケインズ型消費関数
   C = a + bY
・独立消費支出
・限界消費性向
・平均消費性向

[例題24.1]例23.1(前回講義)について,次を示しなさい。
(1) 消費関数
(2) 独立消費支出
(3) 限界消費性向
(4) 平均消費性向

●意図せざる在庫投資 ≡ Y - E

プロセス Y  C  I  E 意図せざる在庫投資
5004005045050
4503605041040

●均衡GDP水準(均衡国民所得水準)

[例題24.2]例23.1(前回講義)の場合,均衡GDP水準はいくらであろうか。

2 投資乗数

[例題24.3]例23.1(前回講義)のマクロ経済について,投資需要が 20 増加したとする。
(1) 均衡GDP水準を求めなさい。
(2) 均衡GDP水準は,投資需要の増分の何倍増加したであろうか。

●投資乗数

[ファクト24.1]次のマクロ経済の均衡GDP水準と投資乗数
 C = a + bY
 I = I0
 (均衡GDP水準) Y = (a + I0)/(1 - b)
 (投資乗数) ΔY/ΔI = 1/(1 - b)

3 乗数波及効果

例題24.3の乗数効果
段階 ΔI  ΔC  ΔE  ΔY 
1



2



3



4



.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.

 ΔY の総和 = 20 + 0.8 x 20 + 0.82 x 20 + 0.83 x 20 + 0.84 x 20 + ・・・
      = (1 + 0.8 + 0.82 + 0.83 + 0.84 + ・・・) x 20
      = {1/(1 - 0.8)} x 20

 ΔY/ΔI = 1/(1 - 0.8) = 5

<図説>

E, C ^
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     |
     +-------------------------------------> Y
   0

[練習問題24.1]消費関数が C = 20 + 0.75Y,民間投資が 50 のマクロ経済について,次を示しなさい。
(1) 独立消費支出
(2) 平均消費性向(式で)
(3) 限界消費性向
(4) 均衡GDP水準
(5) 投資乗数
(6) 投資が30単位増加したときの均衡GDP水準の増加額
(7) 投資が30単位増加したときの乗数波及効果