[法]経済原論:第23回講義ノート
マクロ経済学 (1):マクロ経済学の問題意識 (復習) と景気動向 (2011/12/15)
- [今日の内容]
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1 ミクロ経済学とマクロ経済学
2 景気動向
3 有効需要の原理 vs. セイ法則 - [キーワード]
- 生産面のGDP,分配面のGDP,支出面のGDP,三面等価,需要,供給,需給均衡,需給バランス,有効需要の原理,セイ法則,総需要,総供給,消費関数,ケインズ型消費関数,限界消費性向,平均消費性向,独立消費支出,意図せざる在庫投資,均衡GDP水準
- [教科書 & 関連練習問題]
- 1章1.4 & 問題1.1(2), 1.3
- [参考書]
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伊藤元重『マクロ経済学』日本評論社
中谷巌『入門マクロ経済学』(第5版)日本評論社
中谷巌『マクロ経済学入門』(第2版)日経文庫
マンキュー『マクロ経済学I』入門篇(第2版)東洋経済新報社
1 ミクロ経済学とマクロ経済学 (復習)
- 生産面のGDP
- 付加価値
- 分配面のGDP
- 労働所得
- 資本所得
- 支出面のGDP
- 消費
- 投資
- 三面等価
- 合成の誤謬 (Fallacy of Composition)
- 分割の誤謬 (Fallacy of Division)
- ミクロ経済学 (Microeconomics) vs. マクロ経済学 (Macroeconomics)
・現象例
(例1)「美味しいリンゴが産地に残らない」
(例2)「バスから自家用車通学に変更する学生が増加」
(例3)「景気が良くなれば,物価が上がる」
(例4)「所得税減税は,消費を拡大させるときと,影響がないときがある」
・分析の二分法
ミクロ経済学 個別市場,個々の主体
例1:リンゴ市場
例2:消費者の選択
マクロ経済学 一国全体,「集計量」
例3:一国全体の景気,物価
例4:一国全体の消費
2 景気動向
*経済財政白書(平成23年度版)より
3 有効需要の原理 vs. セイ法則
■Q. GDPの水準は,どのように決まるのであろうか?
●有効需要の原理 vs. セイ法則
[例23.1]主体:企業A(農産物),企業B(建築業),消費者
企業A:建物 20単位 「欲しい」
消費者:建物 30単位 「欲しい」
消費者:農産物 所得の8割 「欲しい」
企業A:300単位 「売りたい」
企業B:200単位 「売りたい」
●需要
●供給
●需給均衡(需給バランス)
●総需要(E
)
需要としての総支出
E ≡ C + I
C
:需要としての民間消費の大きさ
I
:需要としての民間投資の大きさ
●総供給(Y
)
供給としての総生産の大きさ
分配面との等価 ⇒ Y
= 総所得
■Q. 例23.1の場合,Y
は,いくらになるの?有効需要の原理が成り立つ場合は?セイ法則が成り立つ場合は?
●消費関数:Y → C
[例]ケインズ型消費関数
C = a + bY
・独立消費支出
・限界消費性向
・平均消費性向
●意図せざる在庫投資 ≡ Y - E
プロセス | Y | C | I |
E | 意図せざる在庫投資 |
1 | 500 | 400 | 50 | 450 | 50 |
2 | 450 | 360 | 50 | 410 | 40 |
3 | |||||
4 | |||||
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●均衡GDP水準(均衡国民所得水準)
[練習問題23.1]2つの産業,A(漁業),B(建築)がある。Aは400単位,Bは500単位の生産を計画。これに対し,消費者が総所得の9割を漁業より購入しようとしており,民間全体では建築からの購入計画が60単位ある。
(1) 総供給を Y,需要としての民間消費を C としたとき,次を示しなさい。
(a) 消費関数
(b) 独立消費支出
(c) 限界消費性向
(d) 平均消費性向
(2) 需要としての民間投資を I としたとき,I を求めなさい。
(3) 総需要を E としたとき,E を式で表しなさい。
(4) 各産業の当初計画している総供給での「意図せざる在庫投資」を求めなさい。
(5) 均衡GDP水準を求めなさい。