企業と経済・応用:第5回講義ノート

市場の機能と政府の役割:部分均衡分析 (4) (2011/5/16)

[今日の問題意識]
第1回講義 例1.1 (教科書練習問題2.3, pp. 43-44)
■Q.競争市場では,どのように資源配分,所得分配が決まるのであろうか。[前回
■Q.市場の機能は?経済厚生上の機能は?[今回]
[今日の内容]
1 問題意識の確認
2 パレート改善とカルドアの補償原理
3 パレート効率性と厚生経済学の第1基本定理
[キーワード]
パレート改善,一物一価,カルドアの補償原理,総余剰,カルドア改善,パレート効率性,厚生経済学の第1基本定理,取引費用,情報費用,交渉費用,執行費用
[教科書]
第2章2.4.1〜2.4.5
[関連練習問題]
教科書 問題2.2 (9.g)以外すべて, 問題2.3(1)〜(10) (第2章, pp. 41-44)

1 問題意識の確認

前回講義 2.2 応用編

■Q1. 市場均衡で取引していない主体は?

■Q2. 全員に余剰が発生するような資源配分は,ないのであろうか。探してみよう。

■Q3. それを「市場分断化」と呼ぼう。市場均衡と市場分断化,賛成者と反対者を調べなさい。

<今日の問題意識>(確認) → 第1回講義 例1.1 Q4,Q6,Q7

2 パレート改善とカルドアの補償原理

●パレート改善

[例5.1]初期所得分配 → 市場分断化での所得分配

πAπBπCπTπUπV
000000
12.5107.57.51012.5

[例5.2]市場均衡 vs. 市場分断化

πAπBπCπTπUπV
27.512.5017.57.50
12.5107.57.51012.5

■Q. いずれが持続可能なのか。

[注意5.1]
市場分断化は,一物一価の法則が成り立たない。 → 再契約

●カルドアの補償原理:総余剰とカルドア改善

[ファクト5.1](教科書 ファクト2.8, p. 29)
総余剰 増加 → カルドア改善

■Q. いつ,総余剰が最大?

[ファクト5.2](教科書 ファクト2.9, p. 29)
総余剰が最大になるのは,需要価格の高い順,供給価格の低い順に,「需要価格 ≥ 供給価格」の中で取引した場合

3 パレート効率性と厚生経済学の第1基本定理

●パレート効率性

[定理5.1](教科書 定理2.10, p. 31)
取引費用がなければ,市場均衡での所得分配 → パレート効率

●取引費用
・情報費用
・交渉費用
・執行費用