企業と経済・応用:第8回講義ノート
消費者(2) 選好順序と効用関数 (2011/6/6)
- [今日の問題意識]
- ■Q. 選好順序が無差別曲線群となって現れるということは,選好順序自体,何かしらの関数で表現できるのではなかろうか。そうであれば,単調性や凸性,限界代替率なども,その関数から表現できるのであろうか。
- [今日の内容]
-
1 選好順序の実数値関数表現:効用関数
2 基数的効用 vs. 序数的効用
3 限界効用と限界代替率の関係 - [キーワード]
- 効用水準,効用関数,完全代替,完全補完,基数的効用,序数的効用,限界効用
- [教科書]
- 第3章 3.2.5
- [関連練習問題]
- 練習問題8.1 (本講義ノート末),教科書 第3章末 問題3.11,問題3.12,問題3.13
1 選好順序の実数値関数表現:効用関数
●効用水準(utility level)
●効用関数(utility function)
U = u(x,y)
[例8.1]効用関数の例
(1) カレーとライス,こだわらない人(完全代替,線形効用関数)
u(x,y) = x + y
(2) カレー1スクープに対し,ライス2スクープにこだわる人(完全補完,レオンチェフ型効用関数)
u(x,y) = min{2x,y}
(3) ドライブと食事が反比例の時,満足(効用水準)が一定になる人
u(x,y) = xy
(4) コブ・ダグラス型
u(x,y) = xαyβ
(5) CES型
u(x,y) = (αxρ + βyρ)1/ρ
[ファクト8.1] CES 型効用関数は,
(1) ρ = 1 のとき線形 u(x,y) = αx + βy,
(2) ρ → ∞ としたとき,レオンチェフ型 u(x,y) = min{x,y},
(3) ρ → 0 としたとき,コブ・ダグラス型になる。
2 基数的効用 vs. 序数的効用
●基数的効用 vs. 序数的効用
■Q. 効用水準で表すということは,基数的効用になってしまうのではなかろうか。
[例題8.1]次の2つの効用関数が同じ無差別曲線群を与えることを説明しなさい。
u(x,y) = x + y
v(x,y) = 5(x + y)2
3 限界効用と限界代替率の関係
●限界効用(Marginal Utility)
[例題8.2]次の効用関数について,
u(x,y) = 2x + 3y
(1) 各商品の限界効用を求めなさい。
(2) 消費計画 (4,3) を通る無差別曲線を図示し,限界代替率を求めなさい。
[ファクト8.2]
MRS = MUx/MUy
[練習問題8.1]
(1) (ア)曲線群となって現れる選好順序は,(ア)曲線群を与える(エ)関数によって表現できるときがある。(エ)関数は,(オ)の各々に対し(カ)を与える対応関係となる。(カ)の値を所与とすれば,一つの(ア)曲線を与えることができる。(エ)関数は,(カ)を与える関数であるが,(キ)的効用ではない。実際,元の(カ)関数を10倍しても同じ(ア)曲線群を与えるので,(ク)的効用である。
(2) 次の効用関数について,
u(x,y) = x2y
以下を示しなさい。
(a) 消費計画 (3,8) での効用水準と,それを通る無差別曲線
(b) 各商品の限界効用
(c) 選好の単調性
(d) 限界代替率の式と,消費計画 (3,8) での限界代替率