現代経済学基礎:第26回講義ノート
2014年11月26日 水・1[新]現代経済学入門[旧]現代経済学基礎
ミクロ経済学 (11):経済厚生 (2) 厚生経済学の第2基本定理
- [今日の内容]
- 1 前回「例題25.1」の解答
- 2 厚生経済学の第2基本定理
- 3 税・補助金の分類と供給曲線
- 4 例題
- [今日の問題意識]
-
【例16.1(秋学期第1回):ジョブ・マーケット】
■Q. A社,B社,Tさんから C社,Uさん,Vさんへの補償について,自主的な交渉が進まない場合,どのような政策を実施すれば良いであろうか。 - [キーワード]
- 厚生経済学の第2基本定理,一括式,所得再分配政策,従量式,従価式
1 前回「例題25.1」解答
2 厚生経済学の第2基本定理
●一括式 (Lump-Sum)
●所得再分配政策
【例16.1(秋学期第1回):ジョブ・マーケット】
A社 | B社 | C社 | Tさん | Uさん | Vさん | 合計 | |
計画経済化 | 12.5 | 10 | 7.5 | 7.5 | 10 | 12.5 | 60 |
市場均衡 | 27.5 | 12.5 | 0 | 17.5 | 7.5 | 0 | 65 |
一括税 | |||||||
一括式補助 | |||||||
再分配後 |
■Q. 所得再分配政策を実施することを主体が知っていても,実現可能?
[定理26.1]厚生経済学の第2基本定理
パレート効率な所得分配 ⇒ 市場均衡での所得分配に一致する一括式所得再分配政策が存在
3 税・補助金の分類と供給曲線
■Q. 一括式以外,例えば,所得税や消費税では,厚生経済学の第2基本定理は成り立たないのであろうか?
- 一括式
- 従量式
- 従価式
3.1 一括税と供給曲線
利潤 = 収入 - 費用 - 一括税
[ファクト26.1]一括税の場合,利潤最大化の1階条件は,
p = MC
3.2 従量税と供給曲線
利潤 = 収入 - 費用 - t × 数量
[ファクト26.2]従量税の場合,利潤最大化の1階条件は,
p - t = MC
3.3 従価税と供給曲線
利潤 = 収入 - 費用 - τ × 収入
[ファクト26.3]従価税の場合,利潤最大化の1階条件は,
(1 - τ)p = MC
【まとめ】一括式以外の課税,補助金 ⇒ 供給曲線 シフト
【応用】一括式以外の課税,補助金 ⇒ 市場均衡 & 総余剰 変化
4 例題
[例題26.1]例題24.1(前々回)について,
(1) 市場均衡での総余剰をすべての主体に平等に分配するのときの一人当たり余剰を求めなさい。
(2) そのような所得分配がパレート効率か否か,説明しなさい。
(3) 厚生経済学の第2基本定理によれば,各買手に(ア)円の(イ)式の[課税・補助]を実施し,各売手の(ウ)円の(エ)式の[課税・補助]を実施するのみで,取引は(オ)に任せれば,その所得分配が実現する。空欄を埋めなさい。