ミクロ経済学:第29回講義ノート

2015年1月13日 火・3[新]ミクロ経済学B[旧]現代経済学応用B

生産経済 (4) 効率性 (3)

[今日の内容]
1 パレート効率性:純粋交換経済 vs. 生産経済
2 パレート効率な資源配分の必要条件
3 生産経済における厚生経済学の第1基本定理
[今日の問題意識]
「ミクロ経済学B」第1回 問題意識】
■Q1. 生産経済のワルラス均衡で成り立つ条件は?それは,純粋交換経済とは異なるのであろうか?
■Q2. 所与の資源と技術の下で,GDPが最大になるのは,いつであろうか?市場経済であれば,最大になるのであろうか?
■Q3. 生産経済でも厚生経済学の第1基本定理は,成り立つのであろうか?
[キーワード]
資源配分の実行可能性,パレート改善,パレート支配,パレート効率性,アダム・スミスの定理,生産フロンティア,厚生経済学の第1基本定理
[参考書]
奥山 6章 6.3

1 パレート効率性:純粋交換経済 vs. 生産経済

【2消費者,2生産者,2生産物,2生産要素】
消費者Aの効用:(xA1,xA2) → UA
消費者Bの効用:(xB1,xB2) → UB
生産者1の利潤:(L1,K1,y1) → π1
生産者2の利潤:(L2,K2,y2) → π2
●資源配分の実行可能性
●パレート改善
●パレート支配
●パレート効率

2 パレート効率な資源配分の必要条件

【考えてみよう!】
・ファクト27.2(前回)によれば,ワルラス均衡ではGDPが最大である。それでは,資源配分のパレート効率性には,GDP最大化が必要であろうか?
・ファクト27.3(前回)によれば,GDPが最大であれば,生産フロンティア上での生産になっている。それでは,パレート効率な資源配分では,生産フロンティア上の生産である必要があるのであろうか?

[ファクト29.1](参考書, 定理6.6)
生産フロンティア上の生産は,パレート効率な資源配分の必要条件である。

[ファクト29.2]パレート効率な資源配分の1階条件参考書, 定理6.7)
生産経済におけるパレート効率な資源配分では,
(1) 各消費者の限界代替率は,限界変形率に等しい。この結果,消費者間の限界代替率が等しい。
(2) 生産者間で技術的限界代替率が等しい。

【考えてみよう!】
純粋交換経済でのパレート効率性の1階条件との差異は,何であろうか,考えてみよう!

3 生産経済における厚生経済学の第1基本定理

[ファクト29.3]厚生経済学の第1基本定理
ワルラス均衡の資源配分は,パレート効率である。