ミクロ経済学:第27回講義ノート

2014年12月9日 火・3[新]ミクロ経済学B[旧]現代経済学応用B

生産経済 (2) 効率性 (1)

[今日の内容]
1 生産フロンティア
2 利潤最大化行動と生産の効率性
[今日の問題意識]
「ミクロ経済学B」第1回 問題意識】
■Q1. 生産経済のワルラス均衡で成り立つ条件は?それは,純粋交換経済とは異なるのであろうか?
■Q2. 所与の資源と技術の下で,GDPが最大になるのは,いつであろうか?市場経済であれば,最大になるのであろうか?
■Q3. 生産経済でも厚生経済学の第1基本定理は,成り立つのであろうか?
[キーワード]
投入係数,生産可能性集合,生産フロンティア,生産可能性曲線,限界変形率,生産要素の資源配分のパレート効率性,利潤最大化行動,アダム・スミスの定理,GDP最大化の1階条件
[参考書]
奥山 6章 6.2

1 生産フロンティア

■Q. 所与の技術,資源を利用したときの企業の生産量の組の全体は?

[例27.1]経済全体での資源配分
・2企業:企業1,企業2
・資源賦存量
 労働:60単位
 資本:72単位
・投入係数
    企業1  企業2
 労働 3単位  6単位
 資本 4単位  5単位

●投入係数
【比較】平均生産性,限界生産性

●生産可能性集合
●生産フロンティア(生産可能性曲線)
●生産要素の資源配分のパレート効率性
●限界変形率(Marginal Rate of Transformation, MRT)

【投入係数が可変的なケース】

[ファクト27.1](参考書, ファクト6.3)
(1) パレート効率な生産要素の資源配分では,生産物間(企業間)の技術的限界代替率が等しい。
  MRTS1 = MRTS2
(2) 限界変形率は,労働の限界生産性の比に等しい。
  MRT = MPL2/MPL1

2 利潤最大化行動と生産の効率性

●経済全体の総生産額
Y = p1y1 + p2y2

[ファクト27.2]アダム・スミスの定理参考書, 命題6.4)
競争市場において各生産者が自己の利潤を最大化すれば,経済全体の総生産額は生産可能性集合内で最大になる。

[ファクト27.3]GDP最大化の1階条件参考書, ファクト6.5)
経済全体の総生産額が生産可能性集合内で最大であれば,
  p1/p2 = MRT

■Q1. 所与の資源の下で,GDPが最大になる生産要素の資源配分は?
■Q2. 各企業が独立に利潤追求して生産計画を決めるとき,GDPは最大になるのであろうか?
■Q3. ワルラス均衡では,GDPが最大になるのであろうか?