現代経済学応用:第22回講義ノート

2012年10月30日 火・3[新]現代経済学応用B[旧]ミクロ経済学B

後期第7回 資源配分の仕組み(3) 政府による価格規制・数量割当

<今日の内容>
0 今日の問題意識
1 理論編:政府による価格規制・数量規制
 1.1 価格規制
 1.2 数量規制
2 応用編:例1.1(後期第1回講義)への応用

0 今日の問題意識

後期第1回講義 例1.1 & 問題意識 Q.1, Q.2, Q.3>

■Q. 「政府による価格規制・数量割当」は,資源配分の決定の仕組みとして十分に機能するのであろうか?
■Q. もしそうであれば,パレート効率な所得分配を導くのであろうか?

1 理論編:政府による価格規制・数量規制

※[参考]奥山 2章 2.5.1 & 2.5.2

1.1 価格規制

[効果1]所得移転の発生

[効果2]数量割当ルールの必要性

[効果3]闇市場の発生

[効果4]死重的損失の発生

●厚生損失

●死重的損失(死荷重,Deadweight Loss)

●消費者余剰

●生産者余剰

1.2 数量規制

[効果1]所得移転の発生

[効果2]数量割当ルールの必要性

[効果3]闇市場の発生

[効果4]厚生損失の発生:「死加重的損失」

2 応用編:例1.1(後期第1回講義)への応用

[政策1]
・価格規制:各企業は,Tさんに月給10万円を支払う
・数量割当:すべての企業がTさんを(1/3)ヶ月ずつ雇用

■Q1. この政策にパレート支配される資源配分・所得分配案は?
■Q2. この政策をパレート支配する資源配分・所得分配案は?

[政策2]
価格規制:A社が,Tさんに月給32万円を支払う
数量割当:A社が,Tさんを雇用
課税:A社に13万円
補助金:B社に7万円,C社に6万円

[政策3]
価格規制,数量割当:なし
課税:Tさんに19万円
補助金:A社に6万円,B社に7万円,C社に6万円
 ただし,課税・補助は,一括式

●一括式(lump-sum)

[ファクト22.1]厚生経済学の第2基本定理(奥山,2章,定理2.1)
任意のパレート効率な所得分配 ⇒ 適切な一括式所得再分配政策+市場均衡で実現可能