ミクロ経済学:第26回講義ノート
2014年12月2日 火・3[新]ミクロ経済学B[旧]現代経済学応用B
生産経済 (1) ワルラス均衡
- [今日の内容]
- 1 私的所有経済
-
2 生産経済の一般均衡
2.1 消費者の選択
2.2 生産者の選択
2.3 ワルラス法則
2.4 ワルラス均衡
- [今日の問題意識]
-
【「ミクロ経済学B」第1回 問題意識】
■Q1. 生産経済のワルラス均衡で成り立つ条件は?それは,純粋交換経済とは異なるのであろうか?
■Q2. 所与の資源と技術の下で,GDPが最大になるのは,いつであろうか?市場経済であれば,最大になるのであろうか?
■Q3. 生産経済でも厚生経済学の第1基本定理は,成り立つのであろうか? - [キーワード]
- 私的所有経済,資源配分,実行可能性,ワルラス法則,ワルラス均衡
- [参考書]
- 奥山 5章 5.2.3, 5.2.4
1 私的所有経済
- ●私的所有経済 (Private Ownership Economy)
2消費者,2生産者,2生産物,2生産要素の生産経済
主体 | 需要 | 供給 |
---|---|---|
消費者A | 生産物1 (xA1 ), 生産物2 (xA2 ) | 労働 (LA ), 資本 (KA ) |
消費者B | 生産物1 (xB1 ), 生産物2 (xB2 ) | 労働 (LB ), 資本 (KB ) |
生産者1 | 労働 (L1 ), 資本 (K1 ) | 生産物1 (y1 ) |
生産者2 | 労働 (L2 ), 資本 (K2 ) | 生産物2 (y2 ) |
θij:生産者 j の利潤に対する消費者 i の請求率
生産者1 | 生産者2 | |
消費者A | θA1 | θA2 |
消費者B | θB1 | θB2 |
合計 | 1 | 1 |
2 生産経済の一般均衡
2.1 消費者の選択
- ●予算制約内効用最大化
- 【予算制約式】
消費者A:p1xA1 + p2xA2 ≤ wLA + rKA + θA1 π1 + θA2 π2
消費者B:p1xB1 + p2xB2 ≤ wLB + rKB + θB1 π1 + θB2 π2
- 【簡単化のための仮定】生産要素は,すべて,供給
- ●最適消費計画の1階条件【「ミクロ経済学A」第10回, ファクト10.1】
(消費者A) MRSA = p1/p2
(消費者B) MRSB = p1/p2
2.2 生産者の選択
- ●利潤最大化
- 【利潤】
- 生産者1:
π1 = p1y1 - (wL1 + rK1)
- 生産者2:
π2 = p2y2 - (wL2 + rK2)
- ●利潤最大化の1階条件【前回, ファクト25.5】
(生産者1) p1MPL1 = w
p1MPK1 = r
(生産者2) p2MPL2 = w
p2MPK2 = r
2.3 ワルラス法則
●ワルラス法則
【2消費者,2生産者,2生産物,2生産要素の生産経済のケース】
p1(xA1 + xB1 - y1) + p2(xA2 + xB2 - y2) + w{L1 + L2 - (LA + LB)} + r{K1 + K2 - (KA + KB)} ≤ 0
2.4 ワルラス均衡
- ●主体的均衡
- ●資源配分の実行可能性
[ファクト26.1](参考書, ファクト5.4)
ワルラス均衡では,次が成り立つ。
(1) 消費者間で限界代替率が一致
(2) 消費者の限界代替率と生産者間の限界費用の比が等しい
(3) 生産者間で技術的限界代替率が一致
【考えてみよう!】
純粋交換経済と生産経済の相違点,共通点は,何であろうか,考えてみよう!